“Civility: A concept analysis revisited”(Clark, 2022)レポート

現在の科目の最終レポートの内容が変更になった…(泣)ので、対応していく。

今回のお題の元は、以下の通り。

Cynthia M Clark , Karen L Gorton. Civility: A concept analysis revisited. Nursing Outlook. 2022 Mar-Apr;70(2):259-270. doi: 10.1016/j.outlook.2021.11.001.

2008年にClarkがCivilityの概念分析1を報告していたが、概念分析は経年変化をするので、改めて概念分析をし直すという報告。今回の報告のHighLightsがNursing OutlookのHP2に掲載されていた。

HighLights

  • Includes a comparison of the 2008 concept of civility with the current analysis.
    (2008年と現在のcivilityの概念分析を含む)
  • Authentic civility involves choice, respect, engagement, inclusivity, and connection.
    (真の礼節には、選択、尊重、関与、包括性、そしてつながりが含まれる。)
  • Perception plays a key role in assessing, interpreting, and experiencing civility.
    (知覚は、礼節を評価し、解釈し、経験する上で重要な役割を果たす。)

次に、2008年と2023年のCivilityの概念分析の比較を表にしてみる。

20082022
Civility Concept“civility requires an authentic respect for the people involved and that each encounter requires time, presence, engagement, and intention to seek common ground.”(Clark & Carnosso. 2008)“Choosing to authentically engage in respectful, welcoming, and inclusive ways to foster equity, belonging, community, and connection, including instances when opposing views are expressed.”
翻訳シビリティは、関与する人々に対する真の尊重を必要とし、各出会いには時間、存在、関与、そして共通の基盤を求める意図が必要である。反対意見が表明された場合も含め、公平性、帰属意識、コミュニティ、つながりを育むために、尊重し、歓迎し、包容力のある方法で真正面から関わることを選択する。

うん…分かるような分からないような(汗)。で、Clarkが2022年に報告した時のDisscussionでは以下の事が書かれている。

Authentic civility, rather than “mere civility,” is urgently needed to build meaningful relationships, create healthy, productive work and learning environments, and foster organizational cultures of inclusivity and belonging.
(有意義な人間関係を築き、健全で生産的な職場と学習環境を作り、包括性と帰属意識を持つ組織文化を育むためには、「単なる礼節」ではなく、「真の礼節」が緊急に必要とされている。)

なんで緊急に必要とされているのだろう?ま、この辺は読み進めていくと分かるのかな?

という事で、事前準備にもならない準備(汗)で、課題に取り組んでみる。

Fig.2 Concept Model of  Civilityの読解

Figure2-Conceptual Model of Civility.(Civilityの概念モデル)を翻訳してみた表が以下の通り。

先行要因定義的属性結果
・自己と他者を理解する(自他認識)
・すべての社会的文脈における共通善に焦点を当てる
・尊敬と親切のモデル
・意図と独自性を持ったコミュニケーション
・協力的な交流と関与
・敬意と意図性
あらゆる文脈における真の歓迎
・インクルージョンと公平性
・信頼できる誠実な行動を模範する
・コミュニケーションとサポート
・社会的規範と期待
・市民社会
・学習環境
・前向きな職場環境
・患者の最適な転帰
・丁重なコミュニケーション
・関係の改善
・生産的な社会的談話
知覚 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→

“図2は、礼節の先行要因、定義的属性、結果を示し、与えられた行動や状況を評価し、解釈し、経験し、対応する際の知覚の役割を示している”と説明されている。この図における私の理解としては、先行要因で示される考えや態度、想いがあり、これが定義的属性に示される「行動」を通して、「結果」として表れ、結果に進むほど知覚されやすいという理解だった。また報告の中で”In other words, civility often resides in the beholder’s eye rather than the person’s intent in the behavior(Clark & Carnosso, 2008).”とあるように、Civilityは行動する人の意図よりもそれを知覚する側にあるので、意図しない受け取られ方をした場合が分かった時は、自分の意図を再度説明するなどの行動が必要と複数の研究者が指摘しているとされていた。

紹介されている先行研究3の概念分析の内容との相違の確認

紹介されている先行研究とは、

  1. Cynthia M. Clark, Joan Carnosso, Civility: A concept analysis. 2008
  2. Julie A. Woodworth, Promotion of Nursing Student Civility in Nursing Education: A Concept Analysis, 2016

である。これらの報告に加え、Clark and Gorton(2022)の報告との比較を、先行用件(antecedents)-定義的属性(defining attributes)-帰着(Consequences)の点から確認を行なった。

Clark and Carnosso (2008)Woodworth(2016)Clark and Gorton(2022)
・敬意あるコミュニケーション
・積極的なリスニングに従事する
・社会的談話に参加する
・機密情報を伝達し、受け取る意欲
・敬意を表する交渉
(2008のみ)
・情報の送信者と受信者
・異なる視点または対立
・時間
・敬意を表する対人コミュニケーション・意図と独自性を持ったコミュニケーション
(2022のみ)
・自己と他者を理解する
・共通点に焦点を当てる
・尊敬と優しさのモデル化
Table 1 – 先行要件
Clark and Carnosso (2008)Woodworth(2016)Clark and Gorton(2022)
・お互いを尊重し、違いを尊重する
・耳を傾け、共通点を求める
・社会的言説に従事し、その関連性を評価する
・美徳、道徳的誠実さ
・倫理
・信頼
・尊厳
・ロールモデル
・説明責任
・効果的なコミュニケーション
・コラボレーション
・尊敬と意図
・あらゆる文脈で本物の歓迎
・コミュニケーションとサポート
・共同インタラクションとエンゲージメント
(2022のみ)
・インクルージョンと公平性
・信頼できる正直な行動のロールモデリング
・社会規範と期待
Table 2 – 定義的属性
Clark and Carnosso (2008)Woodworth(2016)Clark and Gorton(2022)
・敬意を表する会話や談話を助長する市民環境
・送信者と受信者の両方が有意義な対話に従事するのに十分な時間
・各人が機密情報を伝える意欲
・さまざまな視点への感謝
・専門的な行動
・健康的な学習環境
・患者への安全なケアの提供
・効果的なコミュニケーション
・患者の満足度の促進
・市民社会
・学習環境
・前向きな職場環境
・患者の最適な転帰
・丁重なコミュニケーション
・関係の改善
・生産的な社会的談話
Table 3 – 帰結

この中でとくに、Clark and Carnosso (2008)とWoodworth(2016)に焦点を当てて比較すると、WoodworthのほうがNurseの専門性に視点を置いた分析となっているように思われた。

新しい定義でのCivilityの解釈(シビリティとは何か)

Clark and Gorton(2022)の報告でのCivilityの定義を再度下記の通り示す。

“Choosing to authentically engage in respectful, welcoming, and inclusive ways to foster equity, belonging, community, and connection, including instances when opposing views are expressed.”
(反対意見が表明された場合も含め、公平性、帰属意識、コミュニティ、つながりを育むために、尊重し、歓迎し、包容力のある方法で真正面から関わることを選択する。)

Clark and Gorton(2022)

これまでの事を踏まえた私なりの解釈としては、単にCivilityがあると考える態度をとるだけでなく、Civilityは相手視点で考えるものであることを踏まえ、Civilityを欠く態度をとったとしても、相手を尊重し好奇心をもって接することがCivilityに必要なものであるとなった。

  1. Cynthia M Clark , Civility: A concept analysis. ↩︎
  2. Nursing Outlook , Civility: A concept analysis. URL https://www.nursingoutlook.org/article/S0029-6554(21)00263-3/fulltext , 2023-11-11 reviewed. ↩︎
  3. Clark and Carnosso (2008)とWoodworth(2016) ↩︎

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